研究概要 |
1.精製レンサ球菌cADPR合成・分解酵素の細胞変性効果等を検討した。ある種の細胞において、10%胎児牛血清加DMEM中で、酵素の添加によって細胞増殖抑制が観察された。この細胞増殖抑制効果はNADを添加した状態でも観察された。現在その細胞増殖抑制効果をcharacterizationしている。この細胞増殖抑制効果は,L929細胞Vero細胞、CHO細胞等の細胞株では観察されなかった。ハイブリドーマ細胞株において、免疫グロブリンクラス・サブクラスの変化を観察したが、明確な免疫グロブリンクラススイッチは検出できなかった。しかしながら、サイトカイン、growth factor、接着因子等の各種組み合わせを変えて共存させ、クラススイッチが起こるかどうかの実験を予定している。 2.これまで本酵素をStreptococcus pyogenesの培養上清から精製してきたが、in vivo酵素投与を行うには大量の酵素が必要となる。そのためHistidine-tag、GST fusion、Intein fusion等を導入したcADPR合成・分解酵素遺伝子を構築し大腸菌に発現させて、簡単に本酵素を精製する可能性を摸索してきた。結果として行った全ての試みは成功しなかった。その主たる理由は、塩基配列の確認も含めベクターの構築に問題はないが、大腸菌において発現させるうちにベクターに遺伝子変異が起こることにあった。これまでの状況から,大腸菌を用いた通常のfusion protein発現系を本酵素に用いることは困難であると結論づけられた.
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