研究概要 |
1.ディフィシル菌の社会集団、家族内における伝播に関する分子疫学 (1)異なる9群の社会集団における健康成人、合計1,413名中108名(7.6%)においてディフィシル菌の腸管保有が認められた。また、各集団の本菌保有率は4.2〜15.3%であった。 (2)3集団では複数名が同一のPCRリボタイプ・PFGEタイプを示す菌株を保有していた。 (3)ディフィシル菌陽性22名中5名の家族において複数名の本菌保有者が認められ、その内1家族において同一のPCRリボタイプ・PFGEタイプを示す菌株の保有者が認められた。 以上の結果は、社会集団における健康成人間においても本菌が伝播することを示している。また、デイフイシル菌の家族内伝播は極めて稀であることを示唆している。 2.ディフィシル菌院内感染分離株に関する分子疫学 (1)我が国の地域的に異なるA, B, Cの3病院におけるディフィシル菌下痢症からの分離株各々34株中22株(65%)、28株中18株(64%)、25株中11株(44%)がPCRリボタイピングにおいてsmz型を示した。これら51株全株はPFGEではDNA破壊が起こり型別が不能であった。 (2)これら51菌株は新しい血清型(JPと命名)であることが分かった。 (3)smz型は健康人分離株には認められなかった。 以上の結果は我が国においてはPCRリボタイプsmz型、PFGE型別不能、血清型JPの菌株が院内感染流行株である可能性を示している。
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