研究概要 |
Bartonella henselae由来の腰帯静脈内皮細胞増殖因子,およびその関連事項について平成13年度には下記の結果を得た。 1.B. henselae増殖に関する鉄イオンの影響について,brucella broth, brain heart infusion broth, heartinfusion broth,およびM199培地を用いて調べた。いずれにおいても,添加物なしでは菌の増殖が認められなかったが,brucella brothにヘミン,またはFeSO_4を添加すると増殖が認められ,両者の同時添加によりさらに高度の増殖が認められた。 2.内皮細胞増殖因子の精製について,パーフュージョンクロマトグラフィーを用いて分画し,精製を試みているが,分画操作の過程で活性が失われ,本年度中には精製の完了に至らなかった。分画操作の条件について現在検討中で,来年度早期に精製の達成を目指す事とした。 3.昨年度から進行中の,B. henselaeによる内皮細胞の接着因子および炎症性サイトカインの発現誘導に関する実験の過程で,Porphyromonas gingivalisも内皮細胞のICAM-1,IL-8,およびMCP-1の発現増強を起こすことを見出し,その刺激因子の性状をB. henselaeのそれと比較した。その結果,ICAM-1,IL-8,およびMCP-1の発現はP. gingivalisにより添加菌濃度依存性に増強され,UVや加熱などによる不活化菌でも認められた。この効果は菌体成分の煮沸処理や硫酸ポリミキシンB処理にても失活しなかった。これらP. gingivalisの刺激因子の性状はB. henselaeのものと見かけ上完全に一致しており,両菌に共通の特異な病原因子の存在が示唆された。
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