研究課題/領域番号 |
12670260
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
岩永 正明 琉球大学, 医学部, 教授 (00112384)
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研究分担者 |
CLAUDIA Toma 琉球大学, 医学部, 助手 (40325832)
仲宗根 昇 琉球大学, 医学部, 助手 (80175497)
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キーワード | コレラ菌 / 接着因子 / 病巣内細菌 / 線毛 / 防御抗原 |
研究概要 |
コレラ菌の「腸上皮接着因子」を定着因子とみなして、多くの株から分離した線毛の機能を解析した。調べたコレラ菌線毛のすべては腸上皮接着性を持たなかったが、非コレラ性のVibrio cholerae NAGV14株の線毛が唯一接着性を有していた。しかもNAGV14株の線毛の抗原がコレラ菌細胞質から見出されたため、条件によってはコレラ菌にも付着性線毛が発現する可能性を考えて、NAGV14線毛の遺伝子解析を行った。線毛の形成に関与する遺伝子群はコレラ菌線毛の遺伝子群と殆ど同じであったが、線毛主要蛋白をコードするmshAのC-末および遺伝子群最下流の位置するmshQのN-末側はコレラ菌のものと大きく異なっていた。結論としてNAGV14線毛のオペロンはMSHAオペロンの変異型であり、同一オペロンと言えることが分かった。従ってコレラ菌の接着因子としては線毛以外の成分を考えなければならない。この研究で、コレラ菌線毛が単一蛋白によう構成ではなく複数のサブユニットで構成されること、また遺伝子mshQ線毛の構築に不可欠な外膜蛋白であることが証明された。 培養したコレラ菌を殺菌した、死菌経口ワクチンは効果が不十分であることから、病巣内においてコレラ菌が特殊な蛋白(ストレス蛋白)を発現してそれが防御抗原となって感染後免疫を成立させている可能性がある。ウサギ感染モデルの下痢便から回収したコレラ菌は培養菌体に見られない2種類の蛋白を発現していた。このうち15kDaの蛋白はコレラ回復期の患者血清と反応したので防御抗原としての可能性を有している。
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