研究概要 |
マウス脾細胞のT細胞をin vitroで機能を保持しながら大量に殖やす条件を検討した。その結果、抗マウスCD3 mAbコーテングフラスコとマウスIL2 1U/mlを含むRPMI1640メデウムで5日間培養することによりこれらの細胞を10倍以上に殖やす事ができた。Phenotypeを調べると、CD4^+/Thy1.2^+細胞は18.5%,CD8^+/Thy1.2^+細胞は60.2%で殆どの細胞がT細胞であった。今回我々はHIV env特異的DNAワクチンをマウスにi.n.投与し、2日後、上記の活性化T細胞を同系マウスに1x10^6コ投与し,その免疫増強効果を検討した。抗原特異的な血清IgG抗体、分泌型IgA抗体、CTL活性はワクチン単独投与に比べ、有為に増強されていた。今後はインフルエンザDNAワクチンについても同様な免疫増強効果があるかどうかを検討する。このような増強法はヒトに応用する場合、自己の末梢血細胞を利用することになり、副作用などの危険は少ないものと考えられる。 もう1つの免疫増強法としてCpGモチーフの可能性を検討した。今回はヒュウマナイズ化したCpGを5,10,15,20各コピー数発現するプラスミドを構築し、マウスに投与した。その増強効果を我々が標準化した方法で検討した。その結果、特異的血清IgG抗体価はワクチン単独投与に比べ有意に高く、CTL活性やDTH応答にも有意の増強が観察された。このようなCpGモチーフの利用は自然に存在する無理のない免疫増強法といえる。このCpGモチーフによる免疫増強効果はインフルエンザDNAワクチンでも解析することになるが、今後はDNAワクチンに限らず、組換ウイルスベクターワクチンについても検討する準備を進めている。
|