研究概要 |
1、組換え易熱性腸管毒Bサブユニット(LTB)を高率に発現・分泌するBacillus brevis系の確立粘膜アジュバント効果を示すコレラ毒素Bサブユニット(CTB)と同様にLTB遺伝子をクローニングし、B.brevisを用いて組換え体を作製した。PY液体培地を用いた30℃8日間の振とう培養で、培地中に350mg/lのLTBを分泌する株が得られた。組換えLTBは培地上清を直接D-Galアフィニティークロマトグラフィーで精製することにより5量体からなる不純物のない標品を得ることができた。 2、百日咳毒素Aサブユニット(PTA:S1)遺伝子のクローニングと部位特異的アミノ酸置換による無毒化PTAの作製 (1)百日咳菌東浜株のPTA遺伝子をPCR法により増幅し、KpnIとSalIサイトとSalIとSphIに分けてpUC19ベクターに組み込み、これを大腸菌DH5α株にクローニングした。クローニングしたPTA遺伝子の遺伝子配列を確認した結果、Lochat and Keithら(Science,232:1986)により報告されている遺伝子配列と1186bp siteでのgc、および1203bp siteでのgが余分に組み込まれている点が異なっていた。しかし、これはインターネット上で報告されている百日咳毒素の遺伝子配列(Seq ID:144070)とは完全に一致していた。 (2)LA PCRin vitro Mutagenesis法(Takara Kit)を用いて、PTAの9Rが9Kに、また129Eが129Gになるようそれぞれのmutant用primerを作製し、PCR法によりPTA遺伝子に部位特異的変異を導入した。Colonyをpick upし、シークエンスを確認したところ、予想通り、目的の遺伝子配列に置換がおこっていた。現在、この部位特異的遺伝子を置換した百日咳毒素(PTA)が無毒であるか細胞毒生試験により検討中である。
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