研究概要 |
1,組換え易熱性腸管毒素Bサブユニット(LTB)の粘膜アジュバント効果 経鼻投与が可能な遺伝子組み換え百日咳ワクチンには優れた粘膜アジュバントが必要である。これまでに報告があるコレラ毒素(CT)やそのBサブユニット(CTB)よりも効果的なアジュバントの開発を目指し、Bacillus brevisの高効率大量発現・分泌系を用いて組換えLTB(rLTB)を作製し、そのアジュバント効果を調べた。その結果rLTBは経鼻投与で一緒に投与した抗原の血中IgG抗体価のみならず、肺、鼻腔、膣、腸管などの粘膜面におけるIgA抗体価を上昇させたことからCTBと同様、有効な粘膜アジュバントであることが明らかとなった。 2,アミノ酸置換による遺伝子組み換え無毒化百日咳毒素Aサブユニット(PTA:9K/129G)のBacillus brevisでの発現と分泌 LA PCR in vitro Mutagenesis法によりPTAの9Rが9Kに、また129Eが129Gになるようにそれぞれのmutant用primerを作製しPCRを行った。これを制限酵素で切り出し、プラスミドベクターpUC19にクローニングし、シークエンスを確認したところ、予想通り目的の遺伝子に置換がおこっていることを確認した。次いで同様の制限酵素で切り出した後、pNU212にライゲーションし、エレクトロンポーレーション法によりB.brevisの高効率大量発現株に遺伝子導入した。エリスロマイシン含有T2培地でインサート導入株を選択し、抗PT抗体を用いたcolony immmuno blot法により組換え無毒化PTAを大量に発現・分泌する株を10数株選択した。これを5PY培地で培養し、その産生量を検討したところ、30℃での振とう培養5日後に、数ミリグラム/Lのタンパク質を発現・分泌する株を得ることができた。現在、この部位特異的遺伝子を置換した無毒化PTAの性質について検討中である。
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