経鼻接種が可能な遺伝子組み換え無毒化百日咳毒素Aサブユニット(PTA:9K/129G)ワクチンの作製を目的として、Bacillus brevisでの発現と分泌を試みた。まず百日咳菌東浜株のPTA(S1)遺伝子をLA PCR in vitro Mutagenesis法によりPTAの9Rが9Kに、また129Eが129Gになるようにそれぞれのmutant用primerを作製しPCRを行った。これを制限酵素で切り出し、プラスミドベクターpUC19にクローニングし、シークエンスを確認したところ、予想通り目的の遺伝子に置換がおこっていることを確認した。次いで同様の制限酵素で切り出した後、pNU212にライゲーションし、エレクトロンポーレーション法によりB.brevisの高効率大量発現株(HPD31)に遺伝子導入した。エリスロマイシン含有T2培地でインサート導入株を選択し、抗PT抗体を用いたcolony immuno blot法により組換え無毒化PTAを大量に発現・分泌する株を10数株選択した。これを5PY培地で培養し、その産生量を検討したところ、30℃での振とう培養5日後に、数十ミリグラム/Lのタンパク質を発現・分泌する株を得ることができた。 また我々は、経鼻投与に必要な粘膜アジュバントとして、遺伝子組み換えコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)や、腸管毒素原性大腸菌の易熱性毒素(rLTB)をBacillus brevisの高効率大量発現・分泌系を用いて組換え作製し、そのアジュバント効果を調べた。その結果rCTBやrLTBは経鼻投与で一緒に投与した抗原の血中IgG抗体価のみならず、肺、鼻腔、膣、腸管などの粘膜面におけるIgA抗体価を上昇ることが明らかとなった。
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