研究概要 |
【HUS発症機序に関する研究】 平成13年度は平成12年度にBALB/cマウスを用いて行ったHUSの実験と同様の実験をiNOS遺伝子欠損マウスを用いて行った。iNOS遺伝子欠損マウス[Sv129xC57BL]F1由来、iNOS-/-)および[Sv129xC57BL]F1マウス(iNOS+/+)にEHEC(O157、T1001株)を1×10^5CFU腹腔内に感染させ、感染7日目にLPS50μg腹腔内に投与した。この実験系で以下の結果を得た。 (1)LPS投与3日目(EHEC感染10日目)での大腸内でのEHECの菌数(Log)及びベロ毒素(VT1,VT2)量:iNOS+/+,iNOS-/-マウスでの菌数はそれぞれ5.0±0.3、7.4±0.5であり(n=5-6)、iNOS-/-マウスで有意に高値を示した。また大腸内でのVT1、VT2量はiNOS+/+に比べiNOS-/-マウスで有意に高値を示し、iNOS-/-マウスマウスは易感染宿主であることを示した。 (3)LPS投与3日目での腎病変の程度:組織標本(HE染色)のおいて、ボウマン嚢1個当たりのメサンギウム細胞数を腎病変の指標とした。その結果、iNOS+/+では,メサンギウム細胞数の増加が認められ、腎変化が認められた。しかしiNOS-/-マウスではメサンギウム細胞数の増加はなく、腎病変は認められなかった。 以上の結果からEHEC感染後の腎病変は細菌数には依存しないこと、またNOが腎病変の病原因子であることを示した。 【その他の研究成果】 本研究遂行の目的で維持、管理したiNOS遺伝子欠損マウスを用いて以下の研究を行った。 (1)CMV感染に関する研究:NOはCMV感染の初期防御の主役である一方CMV肺炎成立における肺の傷害因子でもある事を示し、NOの2面性を明らかにした。 (2)動脈硬化に関する研究:NOは動脈硬化部位のコラーゲン量を減少させることを明らかにした。
|