研究課題/領域番号 |
12670270
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
桜井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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研究分担者 |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
越智 定幸 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (80268705)
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
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キーワード | ウエルシュ菌 / イオタ毒素 / ADPリボシル化毒素 / i_a成分 / 結晶解析 / アミノ酸置換 / NAD^+ / カイネティク解析 |
研究概要 |
ウエルシュ菌イオタ毒素のi_a成分を空間群P1の結晶系でNADHと共結晶化し、1.8Å分解能でX線解析した。その結果、i_aは、N末端側1~210残基のNドメインとC末端側21~413残基のCドメインから成ること、そして、CドメインのCavity内にNADHがfoldingされていることが判明した。Cavity内に存在し、NADHの近傍に存在するアミノ酸残基とADP-リボシル化毒素ファミリーの共通モチーフのアミノ酸残基を置換した変異i_aの酵素活性のカイネティク解析を行い、i_aのADPリボシル化機構は、NAD^+分解と生成したADPリボシル部のアクチンに転移による二段階反応で起こることが判明した。 1)251位Tyr残基がNAD^+をCavity内へ導入する。 2)NAD^+のニコチンアミドリングは349-Pheのベンゼン環、そのリングとリボース部は38O-Glu、さらに、NAD^+のαとβ位のリン酸結合は295と352-Argによって固定されNAD^+分子がリング状となる。 3)この結果、Cavity内のNAD^+はリング様の構造を形成し、ニコチンアミドのカルボキシアミドのアミノ基とβ位リン酸基のO^-と接近し、水素結合の形成により電子の片寄りが生じリボ-スの酸素電子が押し出されNグリコシド結合がSN1反応で切断される。 4)生じるオキソニウムイオンをGlu-380のカルボキシル基が固定する。 5)Glu-378のカルボキシル基は、カウンターイオンとして攻撃するOH^-からオキソニウムイオンをアクチンのArg-177が近づき反応するまで保護する。 6)301-Gluは、置換によって構造が著しく変化することから、構造の維持に極めて重要なのである。 7)246-Tyrと255-Asnの置換の場合、非筋と筋肉アクチンに対する基質認識が大きく変化することから、両残基はアクチン分子の基質認識に関与すると推察される。
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