研究概要 |
平成13年度研究実績の概要 本年度の研究で明らかになったことは以下の通りである。 1,HIV潜伏感染モデル細胞株OM10.1は、LTR内CpG sitesにメチル化が全く認められない細胞株である。 2,OM10.1をTNFaで再活性化を誘導するとウイルス発現が誘導される。このとき、LTRのCpGメチル化は認められない。 3,LTRのヌクレオソームを構成するヒストンの化学修飾に注目し、クロマチン免疫沈降法(ChIPs)を用いて解析すると、Repressive Histone Codeとして報告されている化学修飾を受けており、再活性化時にはPermissive Histone Codeへと変化する事が明らかとなった。 遺伝子のダイナミックな発現制御の形態としてのクロマチン構造の制御がヒストンの化学修飾(これをヒストンに書き込まれた暗号:Histone Codeと呼ぶ)によって決定されるという事実が明らかにされ、遺伝子発現の抑制に関わるヒストンの化学修飾をRepressive Histone Codeと呼ぶようになったが、OM10.1でのHIVはヒストンの化学修飾によって転写が抑制されていることが明らかになった、AIDSを発症し亡くなった患者検体を用いたLTRのメチル化状態の解析、京都大学ウイルス研究所速見教授の研究グループから提供されたSHIV感染ザルの末梢血検体のLTRの解析では、いずれもメチル化が認められない結果が得られており、HIV患者感染細胞中のHIV、特に潜伏感染しているHIVはおそらくRepressive Histone Codeによって転写が抑制されいていることが推測された。 本研究で明らかにされた結果は、前年度で明らかにされた結果と合わせ、全3報の論文として現在投稿中である。
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