1.C末側によるNS1のPKR活性化阻害の調節機構について (1)詳細なdeletion mappingを行い、NS1のRNA結合必須領域はN末側1-82アミノ酸に限局しており、この部位がin vitroでPKR活性化に対して強い阻害活性を持つことを確認した。このRNA結合活性は、引き続く82-144のアミノ酸配列の付加により減弱される。N末側82断片はRNA結合能が増加するとともに1本鎖RNA結合の特異性に変化がおこりpolyAに結合するようになる。 (2)(1-82)NS1、完全長NS1ともUクラスターに結合することが新たに明らかになった。このウイルスの各vRNA分節の5′末端の13塩基の共通配列の後には5-6塩基のUクラスターがあり、ここに強固に結合する。 (3)N末側のRNA結合領域と、C末側82-144の特定の部位との相互作用を現在in vitroで解析中である。さらに、細胞へのトランスフェクション、および、これらのポリペプチドを個別にプロテイン・トランスダクション法で細胞に導入することによりNS1の機能制御の解析を進めている。 2.リン酸化によるNS1のPKR活性化阻害の調節機構について (1)大腸菌で作られたNS1はリン酸化するとRNA結合能が低下した。また、感染細胞から精製したNS1のRNA結合能は脱リン酸化により増加する。 (2)NS1は感染後先ず核に蓄積し、次第に細胞質への蓄積が増加する。感染後期にはvRNPやリボゾームへの強い結合見られる。これらのリン酸化は感染初期には低いが、後になると増加し各分画のリン酸化の程度には差がなかった。
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