研究概要 |
(1)2種類の近交系マウス(C57BL/6J,129/SvEv)間の交雑F1を起点とした兄妹交配によるマウス生産の過程で突然変異マウスを発見していたが、その変異系統の分離と維持に成功した。この変異系統では、ホモ型変異体で表現型の異常が容易に観察される。雌雄を問わず、哺乳期において乳糜腹水の貯留が認められる。また、慢性的な後肢の腫脹が認められる。加えて、正常個体では血液が流入することのない末梢組織のリンパ管において血流が認められ、特に小腸や腸間膜で顕著である。ただし、ホモ型変異体の雄は生殖不能、雌は生殖能力を有するが流産し、自らも死亡しやすいため、表現型異常の認められないヘテロ型変異体を後代検定によって同定することで、系統を維持している。 (2)リンパ管内皮細胞特異的に発現していることが報告されているヒトlyve-1遺伝子のマウスホモログを、ESTクローンを元にクローニングした。マウスFosmidゲノムDNAを作成し、lyve-1遺伝子の独立したゲノムクローンを2種類(40,42kb)単離した。エクソン-イントロンの構造解析および制限酵素地図の作成を行ったところ、2クローンで重複のある領域、28kbについて欠失や再構成は認められなかった。この領域には、最初のエクソンの上流10kb、最後のエクソンの下流9kbが含まれていた。この領域を元に、lyve-1タンパク質の代わりにβ-ガラクトシダーゼを発現するトランスジェニックマウス、ノックインマウスの作成を進めている。
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