主として、遺伝子欠損マウスを用いて、癌免疫に重要な、NK細胞、樹状細胞など自然免疫担当細胞の分化、活性化機構を解明する。本研究代表者の樹立した、転写因子C/EBPγ欠損マウスは、NK細胞の増殖、発生は、正常であったが、細胞障害活性、および、IFNγ産生能などのNK細胞機能が低下しているという点で、従来の遺伝子欠損マウスとは異なる特徴を有していた。さらに、C/EBPγ欠損マウス由来のNK細胞機能を肝臓および脾臓と臓器別に検討したところ、脾臓特異的な機能低下であることが明らかとなった。また、正常、およびC/EBPγ欠損脾臓in vitro NK細胞との間で発現量に差のある遺伝子群を、DNAチップを用いたスクリーニングにより、同定した。 樹状細胞の分化機構に関しては、樹状細胞分化誘導活性の強いグラム陰性桿菌由来のリポ多糖(LPS)や、バクテリア由来のDNA(CpG DNA)などの刺激に対する受容体、そのシグナル伝達分子(アダプター分子MyD88)、および、そのシグナルによって、発現が誘導される遺伝子(ケモカイン受容体LCCR)など種々の遺伝子の欠損マウスを用いて、解析を行った。その結果、CpG DNAによる樹状細胞分化にはTLR9が受容体として、また、MyD88がアダプターとして必須であることが明らかとなった。一方、、LPSによる樹状細胞分化に関しては、TLR4が受容体として必須であったが、MyD88を必須としないシグナルが存在することが明らかとなった。LCCR欠損マウスに関しては、樹状細胞の機能には特に変化は認められなかった。
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