研究概要 |
前年度までに我々は、Fasリガンド(FasL)やTNF-related-apoptosis-inducing ligand(TRAIL)といったアポトーシス誘導分子の機能および発現について、主にin vitro実験系により解析したが、その過程で、FasLやTRAIL分子以外のアポトーシス誘導分子が免疫システムにおいて重要である可能性が得られていた。本研究において、我々は、新規TNFファミリー分子であるTWEAKの発現と免疫系における機能について解析を行った。TWEAKはIFN-γで発現誘導されること、および、IFN-γ活性化単球の標的細胞傷害機構にはTRAILやTNF-αに加え、TWEAKを介した経路も存在することを示した。FasLは、AIDSや肝炎等の疾患の素因となりうることが報告されているが、臨床応用を目的として、昨年度までに樹立したヒトFasLに対する中和抗体(NOK2,マウスIgG2a/κ)のヒト型化を行うと同時に、FasLとそのレセプターであるFasとの分子レベルでの結合様式の詳細についてモレキュラーモデルを用いて解明した。さらに、FasL活性維持に重要なアミノ酸残基の位置を同定し、NOK1^-3、リコンビナントNOK203の立体エピトープ解析およびFasL活性維持に重要なFasLアミノ酸残残基の比較から、これらがある程度の類似性を示すことが明らかとした。これらの、知見は、アポトーシスを抑制する低分子化合物の開発につながることが期待される。
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