研究概要 |
CD45は造血系細胞に広く発現している膜貫通分子で、その細胞内領域はチロシンホスファターゼ(PTP)活性を有し、細胞の生理に深く関与している。本研究では、このようにリンパ球シグナルの分子機構を解明する上で不可欠であるのにも関わらず、未だ確実な情報のないCD45のリガンドの同定を試みる。 本年度は、主にこのリガンド検索を行うための材料の調整を行った。まず、リガンドが結合するCD45細胞外領域蛋白の発現と精製を行った。スプライスを受けないRA型、エクソン4,5,6,がスプライスされたRO型のCD45の細胞外領域をコードするcDNAをpMT2ベクターに組み込み、293T細胞にトランスフェクトすることによりGST融合蛋白として発現させ、グルタチオンセファロースによる精製を行った。効率があまりよくなかったため、コンストラクトの改良などをし、かなりの時間を費やした。並行してCD45リガンド候補の発現クローニングのために、マウス脾臓cDNAライブラリーの調整を行った。今後、293T細胞にこのcDNAを発現させ、マグネティックビーズが結合した精製CD45を反応させ、ビーズに結合する細胞の回収を繰り返し、CD45結合分子の遺伝子の解析へと進む予定である。
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