研究課題/領域番号 |
12670314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2001-2002) 秋田大学 (2000) |
研究代表者 |
和田 安彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10261653)
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研究分担者 |
小泉 昭夫 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50124574)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | エネルギー制限 / 心臓 / 遺伝子発現 / cDNAアレイ / 低体温 / 仮性冬眠 / 24時間心電図 / 不整脈 |
研究概要 |
栄養素不足のないエネルギー制限(ER)は種々の動物に対して老化遅延・寿命延長効果を示すことが知られている。本研究ではAKITA Diet(ER:200kJ/week, control:400 kJ/week)を用いてERをC57B1/6雄マウスに対して行ない、心臓への影響をみた。心臓の遺伝子発現を588ヶの遺伝子が載っているcDNAアレイでスクリーニングした結果、ERマウスでは胎生時に多く発現するミオシン軽鎖と温度変化等のストレスで出現するタンパク転写因子のmRNAの上昇が認められた。形態学的には、電子顕微鏡でCtマウス心筋に見られた小脂肪滴がERマウスにはほとんど認められず、心重量から、心肥大も認められなかった。無拘束24時間体温心電図記録により、ERマウスは体温変化に先行して心拍数が変化し、体温の低下時には心拍数が5分の1以下にまで下がることが判明した。また低体温時や体温上昇時には、危険な心室性期外収縮等は起こさず、低体温にうまく適応していることが分かった。さらに、ERの心臓は体温調節に重要な役割を積極的に果たしていることが示唆された。 以上から、エネルギー制限は心臓の形態と機能を変化させて、幅広い体温とエネルギー状況に適応できるようにしていると考えられた。このことは、エネルギー制限が、高齢者の適応能力の低下を抑えることにより、危険な不整脈の発生を防止し、ひいては突然死を減少させる効果を持つ可能性を十分に示唆するものである。
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