研究概要 |
昨年度はC型肝炎ウイルス(HCV)感染率が非常に高い(約20%)兵庫県内のある地域において、HCV1b型に感染している男性では、p53遺伝子の72番目のコドンがCCC(Pro)である割合が非感染者に比べ有意に高い事を見出した。今年度はこの地域で特にHCV抗体陽性でHCV-RNA陽性の人のフォローアップを行った。対象者は地域全体で217名であった。内男性113名、女性104名で年齢的には50才以上75才未満の人が大部分を占めていた。この他に平成9年から13年の内に死亡した人13名、転出が8名いた。死亡原因では肝癌が4名と最も高く、以下、肺、胃、卵巣癌及び悪性リンパ腫が各1名、その他は脳出血、肺炎、事故であった。対象者の内男性71名、女性64名が同地域の医療機関を受診した。エコー検査は110名に対して行われた。更に肝炎に対して、インターフェロン療法を行っている人が平成9年から現在迄に7名いる。血液検査は医療機関及び地域で行う健診の際行われた。地域健診を受けた95名について、HCV抗体陽性でRNA陰性者の81名と比較すると血小板数の平均は18.3万/mm^3と後者のそれ(23.2)に比べ低かった。又GOT, GPT, γ-GTPの内一項目以上高値の割合も52.6%で後者の29.6%に比べ高かった。各々の値についてみると、GOTが41.1%対4.9%、GPT46.3%対9.9%、γ-GTP33・7%対27.2%で、いずれも前者が高く、また高値を示すものは男性に多かった。 現在これら対象者の内でp53遺伝的多型の判明している人について、多型と肝障害発生の頻度、速度等との関連の検討を行っている。
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