研究課題/領域番号 |
12670320
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 茂秋 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00076994)
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研究分担者 |
坂根 直樹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40335443)
白木 孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10294208)
鎌江 伊三夫 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (70252905)
加納 和孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70111507)
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キーワード | C型肝炎 / 抗体 / RNA / フォローアップ / p53遺伝的多型 / 肝機能検査 / 血小板 |
研究概要 |
HCV抗体陽性者の多い兵庫県の一地域でp53のコドン72の遺伝的多型が判明しているHCV-RNA陽性者について、定期肝癌検診の結果とp53遺伝的多型の関連について検討した。まずRNA陽性者81名とHCV抗体陽性でRNA陰性者(53名)について肝機能検査の結果を比較した所、血小板数、AST、ALT、γ-GTP、ZTT及びT-Chol値はRNA陽性者の方が有意に悪い値を示す事を確認した。本調査は平成9年に始まっており、現在フォローアップ5年目になっている。このフォローアップ期間中の肝機能検査の動きとp53遺伝的多型の変化を次に解析した。平成9年の調査開始時にはp53のコドン72がCGC(Arg)/CCC(Pro)、Arg/Pro及びPro/Proの各々23、23及び8名の個体の間で、年齢、性別、飲酒量、HCVの遺伝型及び種々の肝機能の値についての差は見られなかった。次にこの5年間フォローアップ中の血小板、AST、ALT、γ-GTP、ChE及びZTTの年間平均変化率をp53の各遺伝子型を持つ個体間で解析した所、Pro/Pro型の個体が他の遺伝型の個体に比べて、血小板数の低下が有意に大きい事がわかった。他の指標については有意差は見られなかった。 本研究において我々は既にp53のPro/Pro遺伝型の個体が、HCVの特に1b型の男性感染者に、非感染者に比べ、有意に多い事を見い出していたが、p53のPro/Pro型はHCVへの感染後の、血小板数減少に反映される肝障害の進行も速い事が明らかになった。これはp53蛋白質のArg型とPro型では、HCVの増殖への関与が違う為と思われる。HCV-RNA陽性者はこれから先もフォローアップする事になっており、より高度の肝障害あるいは肝癌の発生とp53遺伝型の関連を今後も追求していく予定である。又p53の遺伝子のC型肝炎発生の高危険度指標としての有用性もより詳しく検討する予定である。
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