研究課題/領域番号 |
12670323
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 昭代 九州大学, 医学研究院, 講師 (10136484)
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研究分担者 |
平田 美由紀 九州大学, 医学研究院, 助手 (30156674)
槇田 裕之 九州大学, 医学研究院, 助教授 (30209407)
井上 尚英 九州大学, 医学研究院, 教授 (00131904)
大村 実 九州大学, 医学研究院, 助手 (50243936)
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キーワード | インジウムヒ素 / インジウムリン / 肺毒性 / 気管内投与 / シリアンゴールデンハムスター / 化合物半導体 |
研究概要 |
III-V族化合物半導体であるインジウムヒ素(InAs)およびインジウムリン(InP)をハムスターの気管内に反復投与し、肺毒性について比較検討した。 【方法】被験試料はInAs粒子(幾何平均径;1.58μm)およびInP粒子(1.06μm)を用いた。実験群は3群[InAs群(20匹)、InP群(16匹)、対照群(20匹)]設定し、1回投与量としてInAs、InP各々10mg/kg/匹をリン酸緩衝液(対照群はリン酸緩衝液のみ1ml/kg)に懸濁し,シリアンゴールデンハムスター(♂,8週齢)の気管内に週2回、計8回投与した。InAs群は投与終了時から4週目、8週目、16週目に、InP群は8週目、16週目に経時的に安楽死させ、肺病変について比較検討した。 【結果および考察】InAs群、InP群で投与期間や観察期間で体重増加の抑制が観察された。肺の相対重量は、InAs群、InP群の各時点で対照群と比べて有意に増加した。肺の病理学的変化に関して、InAs群、InP群で観察初期より重度の肺炎像を呈し、各時点で肺胞内および肺胞中隔への炎症細胞の浸潤、肺胞腔内へのマクロファージの壊死片を含む滲出液の貯留、間質の線維症が持続して観察された。InAs群の4週目では限局性の扁平上皮化生を伴った肺胞・細気管支上皮の増生が観察されたが、8週目ではこの病変内部にエオジン好性の滲出液が貯留し、16週目では滲出液の貯留が著明であった。InP群においてInAs群と同様に8週目では軽度の滲出液の貯留を伴った肺胞・細気管支上皮の増生が観察され、16週目では滲出液の貯留が著明になり、肺胞腔が著しく拡張していた。以上の結果から、InAsおよびInPの反復経気道曝露により、両群で重度の肺炎と限局性の肺胞・細気管支上皮の増生が認められた。肺病変の程度は両群でほぼ同様であることから、これらの病変の発現には、インジウムの寄与が示唆された。
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