研究課題/領域番号 |
12670323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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研究分担者 |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156674)
槇田 裕之 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30209407)
井上 尚英 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00131904)
大村 実 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50243936)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | インジウム / インジウムヒ素 / インジウムリン / インジウム・スズ酸化物 / 肺毒性 / 気管内投与 / ハムスター / 発がん性 |
研究概要 |
インジウムはインジウムリン(InP)やインジウムヒ素(InAs)などの化合物半導体の構成元素として、さらに最近ではインジウム・スズ酸化物(ITOの構成元素として液晶ディスプレーの透明電極に用いられているが、その生体影響に関する報告は非常に少ない。 本研究では、インジウム化合物についてハムスターを用いた反復気管内投与を行い1)InAsの肺腫瘍発生の有無、2)InAs, GaAsおよびアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)の肺毒性の比較、3)ITOの生体影響、について以下の3つの実験を行い、インジウムの毒性について包括的な評価を行った。 その結果、1)InASを投与したハムスター全例に肺の限局性肺胞・細気管支上皮細胞の増生、限局性の扁平上皮細胞の増生、角化を伴った扁平上皮細胞の増生が認められた。ほとんどの動物でこれらの種々のタイプの増殖性病変が混在し、併発して観察された。さらに3匹にsquamous cystの発生が認められ、InAsの催腫瘍性が強く疑われた。2)InAs, GaAs、AIGaAsの投与により、InAs投与群で体重増加が抑制され、肺病変が最も強く発現した。肺の限局性の増殖性病変はInAs群およびAlGaAsで発現し、その程度はInAs群で顕著であった。3)InPおよびITOの投与により肺の障害が引き起こされたが、その程度はInP群で顕著であった。InP群では肺の限局性の増殖性病変が観察されたが、ITO群では認められなかった。 以上の結果から、インジウム化合物の中でInAsやInPの投与によって肺の催腫瘍性が疑われる病変が認められた。しかし、ITOの投与によって炎症性変化は観察されたが、腫瘍性の変化は観察されず、インジウム化合物の中でも肺病変の発現に違いが認められた。今後、他のインジウム化合物を含めたインジウムの毒性発現に関する検討が必要である。
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