研究課題/領域番号 |
12670330
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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研究分担者 |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
星 秋夫 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (20139265)
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キーワード | 希土類元素 / 生殖能 / 骨代謝 / 骨密度 / マウス / テルビウム(Tb) / イッテルビウム(Yb) |
研究概要 |
希土類元素化合物は、先端技術産業分野で用いられているが、その生体影響は不明の点が多いことから、実験動物を用いて生殖能と骨代謝に及ぼす影響を検討した。昨年度、マウスに静脈内投与したTbおよびYbの一部は生殖器に分布し、1〜25mg元素/kg体重投与の範囲で、精巣では投与量が少ないほど分布割合が増す傾向が認められた。精巣の病理学的な所見からも影響が低Doseで顕著に現れることが示唆された。今年度、さらに低用量の0.2mgTb/kg ivを実施したところ、精巣中Tb濃度は非常に低いが、投与1日後より、7日後の方が高濃度となり、生体内の他の臓器からの移行が示唆された。 骨への分布も投与量が少ないほど移行割合が増す傾向が見られた。希土類投与が骨密度へ及ぼす影響を検討するために、Microdesitometry(MD法)による投与マウス大腿骨の骨密度測定を行なった。対照群マウスに比べて、Tb1mg/kg投与マウスでは骨密度が減少傾向を示したが、統計的に有意な違いは認められなかった。投与した希土類は長期間体内に留まることから、体外排泄促進を目指してキレート剤投与を行なったところ、鉄排除剤であるデフェロキサミン投与で骨密度の増加が認められたが、デフェロキサミン単独投与では増加傾向は認められなかった。さらに、骨の投与元素濃度とその局在を調べる予定である。 不溶性または難溶性希土類(La、Ce、Nd、Eu、Tb)酸化物を反復気管内投与ラットで投与元素の殆どが肺に留まり投与中止後16週経過しても低下しなかった。肝、脾、腎にも低濃度ながら検出され、さらに低濃度ながら精巣にも検出されたことから、不溶(難溶)性の酸化物であっても、一部は溶解して血流にのり全身に分布することが明らかとなった。希土類の種類により、肺の炎症変化の程度や各臓器への分布濃度が異なり、生体影響に違いがあることが示唆された。
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