研究課題/領域番号 |
12670336
|
研究機関 | 岩手県立大学盛岡短期大学部 |
研究代表者 |
千葉 啓子 岩手県立大学盛岡短期大学部, 助教授 (90197137)
|
研究分担者 |
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
立身 政信 岩手大学, 保健管理センター, 教授 (70137496)
岩根 敦子 岩手県立大学盛岡短期大学部, 助教授 (00101543)
|
キーワード | 無機砒素 / 慢性砒素中毒 / 温泉水 / 海藻類 / 酸化ストレス / DNA損傷 / 8-ヒドロキシデオキシグアノシン / 発癌リスク |
研究概要 |
研究目的:前年度から継続して、生活環境中の砒素の生体影響が懸念される場合として魚貝類や海藻類の多食者について砒素暴露とその生体影響の解明を試み、主として生体試料中砒素濃度の測定から潜在的な砒素暴露の実態を検討した。その結果、食生活を介して大量の砒素が摂取されていることが明らかになり、潜在的な砒素暴露が確認された。さらに本年度は温泉地居住者を対象者に加え、砒素の測定を実施した。また、無機砒素暴露により誘発される酸化的ストレスがDNAの酸化的損傷を引き起こした場合のマーカーとして注目されている尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-0HdG)の測定も行ない、生活環境中に存在する砒素による酸化ストレスの誘発を検討した。また、尿中化学形態別砒素濃度や尿中8-0HdG濃度の健常者レベルを明らかにするために、全国6地域の都市近郊居住者についてもこれらの物質の測定を実施した。 研究方法:岩手県内漁業従事者、温泉地居住者および全国6地域の都市近郊居住者を対象とした。尿中砒素は超低温捕集-還元気化-原子吸光光度法で化学形態別に測定した。尿中8-0HdG濃度はELISA法によった。 研究成果:全ての対象群の尿中からそれぞれ無機砒素、モノメチル化砒素、ジメチル化砒素、トリメチル化砒素の4形態の砒素が検出された。各化学形態別の砒素濃度は3群のうち漁業従事者のジメチル化砒素、トリメチル化砒素および総砒素濃度は極めて高く、魚貝類の多食による影響が明確であった。一方、尿中8-0HdG濃度(クレアチニン補正値)は、248名の都市近郊居住者では性・年齢差は認められず、その平均値は15.4±5.6mg/g cr.であった。漁業従事者や温泉地居住者ではこの値に比較して有意に高い値(P<0.001,P<0.05)を示したが、尿中砒素との間には相関は認められなかった。現在、他の生活要因との関連なども合せて検討中である。
|