研究課題/領域番号 |
12670337
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
島田 義也 放射線医学総合研究所, 低線量プロジェクト, サブリーダー (10201550)
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研究分担者 |
柿沼 志津子 放射線医学総合研究所, 低線量プロジェクト, リサーチフェロー
西村 まゆみ 放射線医学総合研究所, 低線量プロジェクト, 主任研究員 (70218204)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | T細胞白血病 / Ikaros / p15 / 放射線 / radiation / ENU |
研究概要 |
B6C3F1マウスに、X線(1.6Gy×4回)、エチルニトロソウレア(ENU:400ppmの飲料水、6週間)を処理し、T細胞白血病(TL)を誘発した。発生率は、それぞれ62%と56%であり、自然発生率(7%)と比較して、高かった。発生した白血病からDNAを抽出し、まず、がん抑制遺伝子の存在と関連するヘテロ接合性の消失(LOH)を58座位について調べた。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)58座位中に一カ所でもLOHをもつ腫瘍の頻度は、X線誘発、ENU誘発、白然発生TLで、それぞれ、86%、45%、38%であった。また、LOHをもつ染色体の平均数は、2.4、0.6、0.9であり、X線誘発TLはLOHの頻度が高かった。(2)LOHが高発する染色体は、11番、12番、4番、19番であり、特に、11番と12番は、X線誘発TLに特異的に多く観察された。(3)11番染色体の共通LOH領域の近傍には、がん関連遺伝子がいくつか存在するが、その中でリンパ球のマスター転写因子であるIkarosがマップされた。(4)Ikaros遺伝子の発現異常をRT-PCR法で調べたところ、発現していないTLが14%、短いフォームのトランスクリプトを発現しているものが11%存在した。点突然変異は、22%のTLにみられ、そのほとんどが、LOHを伴っていた。一方、ENU誘発のTLでは、Ikarosの発現異常はほとんどなく、点突然変異は10%で、そのほとんどは、LOHを伴っていなかった。(5)K-rasの突然変異はどちらも、20%程度で大きな差はなかった。(6)p15遺伝子のプロモーター領域のCpG配列のメチル化は、X線誘発TLに多く、X線誘発でのみメチル化しているCpGが明らかとなり、このメチル化も放射線TLのマーカーになる可能性が示唆された。今後、ENUによる発がんの原因遺伝子を同定しなければならないが、今回の研究でIkarosの突然変異やp15のメチル化が、放射線誘発TLとENU誘発TLとを区別するマーカーとなることが示唆された。
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