研究概要 |
平成14年度は、3年間で蓄積した山形大学医学部附属病院と山形県精神保健福祉センター、国立精神保健研究所の注意欠陥/多動性障害の臨床事例45事例のデータについて、病型ごとの内訳と注意欠陥および破壊的行動障害の診断の合併を検討した。その結果、病型は、混合型がもっとも多く24例(53.3%)で、ついで不注意優勢型18例(40%)、多動-衝動性優勢型3例(6.7%)であった。45例のうち、女児は2例のみで両方とも不注意優勢型であった。行為障害の合併は2例(4.4%)、反抗挑戦性障害の合併は20例(44.4%)であった。臨床的には、注意欠陥/多動性障害の約半数で、反抗挑戦性障害か行為障害が合併しているということになる。 さらに山形市および天童市内において、担任教師及び保護者対象に、Dupaul, GJらが開発したADHD Rating Scale-IVの日本語版(山崎ら)(以下ADHDRSと略す)を施行した。担任教師の調査を実施したのは、中学校2校、小学校4校であった。担任教師には、クラスから10%の子供を無作為に抽出した3〜4名の子供につて評価してもらった。保護者については、それぞれの市内の一つの学校において各学年から1クラスを選んでそのクラス全員の保護者に自分の子供について評価してもらった。その結果、保護者のADHDRSの総得点の平均は、男児7.3点、女児4.4点であった。担任教師のADHDRSの総得点の平均は、男児9.4点、女児3.1点であった。山崎らのデータを参考にして仮に保護者のADHDRSについて15点をカットオフポイントにすると、男児で13.3%、女児で5.4%が、注意欠陥/多動性障害を疑われることになる。さらに構造化面接を担任教師に施行することも計画していたが、プライバシー保護の観点から調査は断念した。
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