平成12年度から平成14年度にかけては、山形大学附属病院、山形県精神保健福祉センター、篠田総合病院、国立精神神経センター精神保健研究所に、通院・通所している注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の患者42名について、構造化面接を用いてDSM-IVに基づいた注意欠陥および破壊的行動障害の診断を行った。また同じ対象に、親によるの子どもの行動の評価尺度であるCBCl日本語版を用いて、精神症状や行動上の問題のアセスメントを行った。6〜8歳では混合型が多く、9歳以上では不注意優勢型が多くなるということが明らかになった。また、男子の混合型の患者において、反抗挑戦性障害の合併率が高いことも明らかになった。行為障害は、42名のうち2名のみに認められた。さらに、AD/HDの患者は、CBCLの社会性の問題、注意の問題、攻撃邸行動などの得点が高いことも示された。 平成14年度には、山形県内の都市部の公立中学校2校、公立小学校2校の計4校の全クラスの生徒の中から無作為に424名を抽出し、担任の教師にADHDの症状の評価尺度であるADHDRS日本語版を施行した。男子は、女子に比べてADHDRSの得点が高いことが示された。また、男女とも、6〜8歳より、9〜11歳、12〜15歳の年齢グループの方が、ADHDRS得点が高いことが示された。 以上の結果から、AD/HDは男子に多く、小学校に入ると症状が目立ち始め、年長児になると不注意の問題が目立つようになることが明らかになった。また、AD/HDのうち、男子の混合型が反抗挑戦性障害を合併しやすいが、行為障害にまで至る例は中学校までは少数にとどまることが示された。そして、AD/HDの患者は、様々な行動上の問題を持っていることも示された。
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