研究概要 |
富山県内および隣接県の花粉症高率地域および低率地域の花粉症発症危険因子等の背景を明らかにするために,545世帯を対象に家族単位に調査を行った。自覚症状に関するアンケートと調査等を実施し,検診の同意を得られた120人を対象に血液検査,アレルギー学的検査等を行った。117人の成績について見ると,花粉症高率地域ではスギIgE抗体陽性率は強陽性者が15%を占め,弱陽性者を含めると50%に近い抗体保有率を示していた。また,今回スギ抗体測定を蛍光ELISA法で行ったが,CAP・RAST法ときわめて高い相関関係(r=0.82)を示し信頼性の高い測定法であることが示された。 栄養・食品調査,空中花粉調査とともにスギ林からの花粉飛散調査等も実施した。その結果,IgE抗体にみられる地域差は,部落レベルでも明らかで,小地域の花粉飛散等のみじかな環境要因が大きな作用を及ぼしている可能性が示された。 今後,地域別に見たアレルゲン評価,スギ花粉等の飛散状況推定・予測法の開発等が重要な課題と考えられた。
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