研究概要 |
富山県内および隣接県において,花粉症発症の危険因子等の背景要因を明らかにするために,家族単位に疫学調査を実施した。自覚症状調査には,437世帯999人より解答が得られた。解析の結果,花粉症有症率の最も高いのは男女とも30才代の者で,スギIgE抗体陽性率と良く一致することが明らかになった。 環境調査として浮遊粉じん(PM10,PM2.5)測定に関する研究を行なったが,現在の手法では多数のサンプルを同時に測定することは困難で,地域差を十分明らかに示すことはできなかった。花粉発生源であるスギ林の植生と関連し,花粉症有症率の高率化はおこることが示されたが,更に詳細に検討するには局地汚染を加味した花粉飛散モデル化の必要性が示唆された。 家族単位の食事調査により,油脂摂取と男性の花粉症有症率変動との関連性が示された。今回の調査では紅花油使用家族において,男性の花粉症有症率が低下するという興味深い結果が得られた。このことは季節野菜や雑魚などを調理する際,紅花油を使用する生活習慣が全体として花粉症発症に抑制的に働くことを示していた。
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