栄養摂取、特に大豆製品およびイソフラボン摂取に注目し、癌、心血管障害死亡との関連性を評価した。対象は高山スタディ参加者である。1992年9月、高山市の35歳以上の住民約3万人(回答率約90%)が栄養と生活習慣に関する調査に回答し、コホートが設立された。大豆製品、イソフラボンその他の栄養素摂取量は169品目について過去1年における摂取頻度と1回の摂取量を尋ねる調査票を用い推定した。1992年より1999年末までの追跡期間における研究参加者の死亡と死因は、総務庁の許可を得たのち、人口動態統計データをもとに同定した。大豆製品および栄養素・食品群摂取量は総エネルギーで補正後5等分にカテゴリー化し、低摂取群をもとに各カテゴリーの、全死亡、癌、心血管障害、その他の原因による死亡のハザード比(HR)を計算した。年齢の他にBMI、喫煙習慣、飲酒量、運動習慣、婚姻状態、慢性疾患の既往歴等は、補正因子としてモデルに含めた。大豆製品の高摂取群の癌、心血管障害死亡のHRは男性で0.89、0.78、女性で0.79、0.90で統計的に有意でないものの女性の心血管障害を除き減少傾向が認められた。大豆製品摂取と閉経との関連についても高山スタディ参加者でコホート開始時に閉経前と報告した女性を対象に前向き研究を行った。大豆製品摂取とその後の閉経開始時期については関連性が認められなかった。
|