【背景・目的】昨年度の研究により、低ナトリウム調味料の1週間の使用は、食塩の24時間尿中排泄量を有意に低下させることが明らかになった(研究発表論文1)。本年は、低ナトリウム調味料の長期使用(6週間)の実行可能性と血圧に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。【方法】二重盲検無作為化比較試験(パラレル法)。対象は調査の主旨を理解し、協力の得られた1地域、2職域の男女である。調査への参加登録者に対して、調査の内容をパンフレット及び口頭にて説明し、最終的に参加への同意の得られた者について調査を実施した。介入期間は6週間、介入に用いた調味料は、(1)低ナトリウム調味料 : 醤油(食塩12g/100ml)、味噌(9.4g/100g)、(2)対照調味料 : 醤油(16g/100ml)、味噌(11.9g/100g)である。評価指標の血圧は、日本循環器管理研究協議会の手技に準拠して、5分間安静後に測定した2回の平均値を用いた。調査期間中に低ナトリウム調味料を配布しなかった対照群については、調査終了後別途低ナトリウム調味料を提供した。【結果】現在までに、1地域(2001年11〜12月)、1職域(2002年1〜2月)の男性23人、女性22人について調査を完了した(1職域については調査継続中。2002年3月終了予定)。介入群と対照群において、性、年齢、降圧剤服用者の割合、調査開始時点の血圧測定値に有意な差は見られなかった。6週間の調査終了後、収縮期血圧は介入群で2.3mmHg減少し、対照群で0.7mmHg減少し、介入群と対照群の差は1.5mmHgであった(t検定:p値=0.63)。また、拡張期血圧は介入群で3.0mmHg減少し、対照群で2.2mmHg増加し、その差は5.2mmHgであった(p値=0.06)。【結論】現時点での調査終了者に関する中間的解析では、6週間の低ナトリウム調味料の使用により、拡張期血圧が低下する傾向が見られた。今後、全対象者の調査終了を待って最終的な検討を行う予定である。
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