研究課題/領域番号 |
12670353
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80281070)
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研究分担者 |
柴田 英治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90206128)
山田 哲也 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90303635)
市原 学 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90252238)
竹内 康浩 名古屋大学, 名誉教授 (90022805)
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キーワード | 不妊 / 卵巣 / 生殖毒性 / 性周期 / 卵胞 / 有機溶剤 / 精液 / 殺虫剤 |
研究概要 |
1.不妊症外来女性受診者における職業歴の検討 前年度は不妊症外来受診者の職業歴を予備的に検討し、放射線や化学物質への曝露歴を有する者を拾い上げたが、今年度は検討をさらに発展させ職業歴を含む環境要因の解析を総合的に進めた。 1)診断名が確定した女性230人のうち、環境要因以外に不妊原因が明らかな患者を除いた182人の解析を行った。視床下部・下垂体・卵巣系(以下HPO)障害の患者80人と、これ以外の疾患の患者および婦人科的異常の見いだされない者102人との2群にわけ、各環境要因に曝露した者の割合を群間で比較した。その結果、有機溶剤曝露歴のある者について群間で有意差が認められた(x^2検定でp<0.05)。 2)患者をHPO障害のある者91名(患者群)とこれ以外の疾患および検査で異常を認められなかった者136名(対照群)とにわけ、曝露効果の指標としてオッズ比を求めた。有機溶剤曝露についてオッズ比4.5(95%信頼区間1.5-16.8)であった。 2.雌ラットにおける1-ブロモプロパンの吸入曝露実験 40匹のWistar系非妊娠雌ラットを4群に分け、1-ブロモプロパンを0ppm、200ppm、400ppm、800ppmの濃度段階別に1日8時間、週7日、12週間曝露した。今年度は、卵巣連続切片上で卵胞のステージ別計測を行った結果、始原卵胞は800ppm曝露群で対照群に比べて有意な増加、成長卵胞は400ppm以上の曝露群で有意な減少、濾胞卵胞は200ppm以上の曝露群で有意な減少を認めた。これらの変化は濃度依存性であり、1-ブロモプロパン吸入曝露により卵巣が傷害されること、傷害を受ける卵胞は始原卵胞にアポトーシスを誘発させる2-ブロモプロパンの場合とは異なることが明らかになった。
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