実験的および疫学的に冠動脈硬化症の独立した危険因子である小径高比重LDLと酸化LDLについて、日本人とモンゴル人について疫学研究(断面および介入研究)を行った。 1)モンゴル人と日本人の国際的比較研究 日本人30-60歳の283名(男168、女115)、モンゴル人30-60歳の258名(男103、女155)を対象に疫学調査を実施した。小径高比重LDLは、肥満、高中性脂肪血症、低HDL血症、インスリン抵抗性、高レプチン血症、高酸化LDL血症と関連していた。しかし、肥満の多かったモンゴル人は、日本人よりも小径高比重LDLの割合が低く、肥満、VLDL、中性脂肪以外の要因の関与が明らかになった。 2)3ヵ月間の生活活動と食行動への介入研究 体重減少は、2000年には23名(51%)であったが、2001年には30名(73%)と改善した。LDL径変化は、2000年は悪化5名、不変33名、改善9名で、2001年は不変17名、改善25名であった。LDL径の改善は、摂取エネルギー減少よりも生活活動度増加と強く関連し、中性脂肪減少、HDLコレステロール増加、インスリン抵抗減少と有意な関連が認められた。介入前後で血漿酸化LDL濃度に有意な変化は見られなかった。血漿酸化LDL濃度は、LDL径小群で大中群より高濃度であった。介入後の血漿を超遠心法によってLDL画分を分離し、各画分中に含まれる酸化LDL濃度を測定した。LDL径小群では、高比重LDL画分中の酸化LDL濃度が大中群に比較して有意に高濃度であった。小型高比重LDLがapoBの側鎖修飾された酸化LDLを多く含んでいることが明らかになった。
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