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2001 年度 実績報告書

血液透折患者集団におけるB型及びC型肝炎ウイルス感染の実態把握と感染防止策の構築

研究課題

研究課題/領域番号 12670357
研究機関広島大学

研究代表者

片山 惠子  広島大学, 医学部, 助手 (50304415)

研究分担者 中西 敏夫  広島大学, 医学部・付属病院, 助教授 (20136089)
田中 純子  広島大学, 医学部, 講師 (70155266)
吉澤 浩司  広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
頼岡 徳在  広島大学, 医学部, 助教授 (40144828)
キーワード血液透析患者 / HCV感染 / HCVキャリア率 / 新規発生率 / HCV core抗原量
研究概要

本研究は、血液透析患者集団におけるHCV感染の実態を把握し、透析施設における感染防止対策を確立しようとするものである。本年度、得られた結果は次の通りである。
県内で協力の得られた透析医療機関9施設の全ての血液透析患者を対象とし、3ヶ月ごとに1回の採血で8回の調査を行なった。対象者は2,275例、平均年齢は60〜61歳であった。
1【血液透析患者集団におけるHCVキャリア率(Prevalence)】
施設別にみたHCV抗体陽性率は13%〜26.2%と、施設間で多少の相違が認められ、全体を平均すると約15%であった。HCV抗体陽性者の中に占めるHCVキャリア率は一般健常者集団のそれとほほ同率の約74%であり、施設間での相違は認められなかった。
2【経時的調査による血液透析患者集団におけるHCVキャリアの新規発生率(lncidence)】
調査開始時点における対象者2,275例中HCV抗体陰性例は1,668例であった。1年10ヶ月の調査期間中、HCV抗体の陽転が認められたのは10例であり、これらの10例は全例キャリア化したことが確認された。HCVキャリアの新規発生率を人年法により算出すると100人年あたり0.42人となった。また、抗体が陽転した10例は、いずれも経過観察期間内に、一般のHCVキャリア同等程度の抗体価の上昇を認めた。
3【血液透析患者集団におけるHCVキャリアのHCV core抗原量の変動】
調査期間中に3回以上の採血が確認されたHCVキャリア272例を対象として、ELlSA法によるHCV core抗原の定量を行なった。その結果、全症例の約16%にcore抗原量の大幅な変動が認められた。これらの集団のうち、女性と比べ男性でcore抗原量の値が高く、また、変動する例が多く認められた。年齢階級別にみると、男性では、40〜49歳の集団からcore抗原量の変動する症例が目立ち始め、50〜59歳、60〜69歳の集団で変動する例が増加し、また、変動幅も大きくなる傾向が認められた。女性では、男性と同様の傾向が見られるが、core抗原量の値は男性より低く、変動幅も小さいとういう特徴が認められた。以上の成績から、血液透析患者集団では、HCV core抗原量を考慮に入れてHCV感染対策を考える必要があることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (19件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (19件)

  • [文献書誌] Yoshizawa.H: "Hepatocellular Carcinoma Associated with Hepatitis C virus Infection in Japan ; Projection to Other Countries in the Foreseeable Future"Oncology. 62・1. 8-17 (2002)

  • [文献書誌] Nagao.Y: "High incidence of extrahepatic manifestations in an HCV hyperendemic area"Hepatology Research MS. 22・1. 27-36 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "日本のHCVキャリア数の推定 自覚症状がないまま潜在するHCVキャリア数"臨床医. 28・1. 2-6 (2002)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "HCV感染者の効率的なスクリーニング"臨床医. 28・1. 7-11 (2002)

  • [文献書誌] 片山恵子: "わが国における肝炎ウイルスキャリアの動向"医学のあゆみ. 200・1. 3-8 (2002)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "総括研究報告書 非A非B型肝炎の予防・疫学に関する研究"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 1-9 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "広島市におけるC型肝炎ウイルス検査実施状況"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 21-25 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "血液透析患者を対象としたHCV感染に関する前向き調査"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 21-64 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "肝がん・肝炎検診"がん検診の適正化に関する調査研究事業 新たながん検診手法の有効性の評価 報告書. 325-362 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "HCVキャリアの自然史解明の試み-マルコフモデルを用いた検討-"日本公衆衛生学会雑誌. 48・10. 817 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "献血者におけるHCV、HBV感染率-コホートでみた性、年齢別分布-"日本公衆衛生学会雑誌. 48・10. 815 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "HCV感染者の動向と感染経路"臨床病理. 49. 741-746 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "病因論に基づいた肝炎・肝がん対策"Ortho HCV Frontier. 42. 2-19 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "ウイルス拡散増幅検査と血液の安全性-NAT導入の展開と今後の課題-"輸血医療の新たな展開 第9回赤十字血液シンポジウム. 36-39 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "C型肝炎ウイルス感染の疫学"肝炎・肝がん対策に向けて""医療情報誌・Schneller. 2-5 (2001)

  • [文献書誌] 田中 栄司: "オーソHCV抗原IRMAテストの評価"医学と薬学. 46・2. 247-256 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "HCVコア抗原定量試薬の基礎的検討誌名"医学と薬学. 46. 1023-1029 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "B型肝炎の新しい展開/第22回犬山シンポジウム"アークメディア. 165 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "慢性肝炎診療マニュアル"医学書院. 138 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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