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2001 年度 実績報告書

肝炎ウイルスの持続感染に起因する慢性肝疾患の病態解明に関する研究 -HCV持続感染者の臨床データに基づく疫学モデルの提示-

研究課題

研究課題/領域番号 12670358
研究機関広島大学

研究代表者

田中 純子  広島大学, 医学部, 講師 (70155266)

研究分担者 中西 敏夫  広島大学, 医学部・付属病院, 助教授 (20136089)
片山 惠子  広島大学, 医学部, 助手 (50304415)
吉澤 浩司  広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
熊田 博光  虎ノ門病院, 消化器科, 部長
キーワードHCVキャリア / 自然史 / マルコフ過程 / 数理モデル / 肝がん対策
研究概要

本研究は、C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染者(HCVキャリア)の病態の経年的変化(自然史)を、様々な病期を起点としたHCVキャリアの病態の経年推移を基礎データとして、数理モデル(マルコフモデル)化して提示し、このモデルもとに、検診・治療などの介入による肝がん死亡の減少効果を客観的に評価することを目指すものである。本年度得られた結果は次の通りである。
1【HCVキャリアの自然史のモデル構築】HCV持続感染者をHCVキャリア・慢性肝炎・肝硬変・肝がん・治癒という大まかな5つの病態に分け、肝がんを終末像とするモデル(マルコフ過程に基づく確率モデル)を構築した。
2【HCVの持続感染による肝病態(病期)の自然経過の解析】献血を契機に見出されたHCVキャリア集団942例の病院受診時の病態及びその後の病期・進展を調査・解析しデータベース化した。さらに性・年齢・診断・治療等の背景因子の情報について、肝臓専門医の協力のもとにプライバシーの保持を重視しながらデータベース化した。得られた成績をもとに、長期慢性肝疾患の病態推移を推計するための数理モデルの再構築を行なった。その結果、40歳時点における無症候性キャリアは、60歳になると男性では10.6%が、女性では4.5%が「肝がん」へ進展すると推計された。また、男性では60歳以上、女性では70歳以上の年齢層で肝発がん率が著しく高くなる成績が得られた。
3【HCV検診実施による肝がん対策の効果に関する評価の試み】HCV検診を実施した場合に健常者集団から見出されるHCVキャリアを対象にして上記構築したモデルを用い、検診を実施しない場合(潜在するHCVキャリアに対し治療を行なわない場合)と検診を実施する場合(潜在するHCVキャリアを見出し積極的治療を行なった場合)の病態の経年変化、1994年人口を元に推計される病態別実数の経年推移を算出を試みた。

  • 研究成果

    (19件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (19件)

  • [文献書誌] Yoshizawa.H: "Hepatocellular Carcinoma Associated with Hepatitis C virus lnfection in Japan ; Projection to Other Countries in the Foreseeable Future"Oncology. 62・1. 8-17 (2002)

  • [文献書誌] Nagao.Y: "High incidence of extrahepatic manifestations in an HCV hypercndemic area"Hepatdogy Research MS. 22・1. 27-36 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "日本のHCVキャリア数の推定 自覚症状がないまま潜在するHCVキャリア数"臨床医. 28・1. 2-6 (2002)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "HCV感染者の効率的なスクリーニング"臨床医. 28・1. 7-11 (2002)

  • [文献書誌] 片山恵子: "わが国における肝炎ウイルスキャリアの動向"医学のあゆみ. 200・1. 3-8 (2002)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "総括研究報告書 非A非B型肝炎の予防・疫学に関する研究"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 1-9 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "広島市におけるC型肝炎ウイルス検査実施状況"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 21-25 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "血液透析患者を対象としたHCV感染に関する前向き調査"平成12年度厚生労働省新興・再興感染症研究事業非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 研究報告書. 61-64 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "肝がん・肝炎検診"がん検診の適正化に関する調査研究事業 新たながん検診手法の有効性の評価 報告書. 325-362 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "HCVキャリアの自然史解明の試み-マルコフモデルを用いた検討-"日本公衆衛生学会雑誌. 48・10. 817 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "献血者におけるHCV、HBV感染率-コホートでみた性、年齢別分布-"日本公衆衛生学会雑誌. 48・10. 815 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "HCV感染者の動向と感染経路"臨床病理. 49. 741-746 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "病因論に基づいた肝炎・肝がん対策"Ortho HCV Frontier. 42. 2-19 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "ウイルス拡散増幅検査と血液の安全性-NAT導入の展開と今後の課題-"輸血医療の新たな展開 第9回赤十字血液シンポジウム. 36-39 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "C型肝炎ウイルス感染の疫学"肝炎・肝がん対策に向けて""医療情報誌・Schneller. 2-5 (2001)

  • [文献書誌] 田中 栄司: "オーソHCV抗原IRMAテストの評価"医学と薬学. 46・2. 247-256 (2001)

  • [文献書誌] 片山惠子: "HCVコア抗原定量試薬の基礎的検討"医学と薬学. 46. 1023-1029 (2001)

  • [文献書誌] 吉澤浩司: "B型肝炎の新しい展開/第22回犬山シンポジウム"アークメディア. 165 (2001)

  • [文献書誌] 田中純子: "慢性肝炎診療マニュアル"医学書院. 138 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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