研究課題/領域番号 |
12670379
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | (財)労働科学研究所 |
研究代表者 |
川見 正機 (財)労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (80153005)
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研究分担者 |
海老原 勇 財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (80124311)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 肺サーファクタント蛋白 / SP-A / SP-D / KL-6 / じん肺及び粉じん曝露 / 間質性肺炎 / 抗好中球細胞質抗体(ANCA) / 血清バイオマーカー |
研究概要 |
血清サーファクタント(SP)蛋白が、粉じん暴露にともなう間質性変化、線維化進展の血清バイオマーカーとなりうるかを明らかにするために、職業性呼吸器疾患であるじん肺の罹患者集団、間質性肺疾患である石綿肺の罹患者集団、粉じん作業者集団において肺サーファクタント蛋白測定を行った。また、焼却施設の近隣に居住する一般住民集団において有害環境因子暴露にともなう健康影響指標としての肺SP蛋白測定の有用性について検討を行った。 その結果、粉じん暴露作業者には間質性線維化が高率に認められ、これらの例ではSP-A、SP-D、KL-6といった各種肺サーファクタント蛋白の高値が認められ、職業的な粉じん暴露との関連性が示唆された。また、粉じん暴露そのものが間質性肺炎発症の要因と考えられるとともに、ANCA産生の亢進、炎症性サイトカインの亢進とともに好中球を活性化し蛋白分解酵素や活性酸素種によって組織、血管の炎症が持続し、やがて間質性線維化へと発展するのではないかと推察された。したがって粉じん暴露作業者に認められた血清肺SP蛋白の動態は、粉じん暴露にともなう間質性変化の過程を反映しているのではないかと思われた。 これらから、職業的な環境有害因子暴露である粉じん暴露作業者及びじん肺罹患者に認められた各種の血清肺SP蛋白の亢進は、粉じん暴露にともなう肺サーファクタントシステムへの影響を反映し、じん肺症の間質性変化、線維化進展の病勢を反映する血清バイオマーカーとして有用であることが示唆された。焼却炉周辺住民における健康調査では、有害環境物質暴露にともなう健康影響指標として肺サーファクタントシステムへの影響への有用性については明らかではなく、今後さらなる検討が必要であろうと思われた。
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