ラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)上のFcεレセプターIα鎖とマウスIgEとの結合を測定する系を作製するために、IgEとの結合能を保有したFcεレセプターIの部分的精製法を確立した。2H3細胞を1x10^8個シャーレ上で培養し、細胞内顆粒に存在する蛋白分解酵素類を除去するために、細胞を蛋白分解酵素阻害剤を含む0.3mMジギトニン/PBS7.4で処理(4℃10分2回)した。蛋白分解酵素類を含む培養液を捨てた後、蛋白分解酵素阻害剤を含む10mM CHAPS/PBS7.4溶液で細胞を溶解し(4℃20分)、不溶性分画を遠心で取り除いた。細胞中に存在する糖を含まないIgE結合蛋白質(レクチンの一種で分子量が30KD)を除去するために、この分画をCon A Sepharoseカラムにかけ(FcεレセプターIα鎖は糖蛋白質)、2mM CHAPS/PBS7.4で十分洗浄した後、0.5Mα-methyl-D-mannoside/10mM CHAPS/PBS7.4でFcεレセプターIを溶出した。FcεレセプターIが得られたかどうかを抗FcεレセプターIα、β、γ鎖抗体を用いてWestern Blot法(12.5%Gel)にて確認した。このFcεレセプターI分画のIgE結合能を調べるために、この分画の1μLをNitrocellulose Membraneに吸着乾燥させ、2%Skim Milkを用いてBlockingした後、さらにビオチニル化したマウスIgE(1μg/mL)を結合させた。次にビオチニル化Alkaline PhosphataseとStreptavidinの複合体で処理し、基質溶液を加えて発色させた。この結果、この分画はマウスIgEと結合する事が明らかになり、この分画を用いてIgEとの結合を測定する系を作製することができた。
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