研究概要 |
1.マウス腎および脳由来cDNAの系統的検索による年齢依存性発現遺伝子の同定 マウス腎および脳について蛍光DD法を用いて年齢依存性発現遺伝子を検索した。腎では3個の既知遺伝子(fibronectin、soluble guanylyl cyclase α1 subunit、cytosolic aldehyde dehydrogenase)と3個の未知遺伝子を、また、脳では4個の既知遺伝子(myelin proteolipid protein、transferrin、protein tyrosine phosphatase、G-substrate)をそれぞれ見出した。 2.マウス腎の新規タンパク質Mpv17-like protein(M-LP)に関する研究 (1)未知遺伝子の1部(EST AI482564)の配列に基づいて全長cDNA配列を決定した。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、マウスのMpv17 proteinおよPmp22に対して高い相同性を有していた。 (2)M-LPはペルオキシソームに局在し、局在化シグナルは、N末端から16〜55番目のアミノ酸配列内に存在すると予想された。また、M-LPは4つの膜貫通領域(amino acid positions 15-34,51-67,92-110,151-168)、膜貫通領域をつなぐ3つのループ、および細胞質側に突き出したN末端とC末端より構成されているものと考えられた。 (3)M-LP遺伝子からは少なくとも2つのmRNA前駆体スプライシング産物が作られ、第2のスプライシング産物は全長194アミノ酸残基よりなるM-LP(M-LP_L)のうち、C末端側90アミノ酸をコードするORFを含んでいた(M-LP_S)。 (4)M-LP_LまたはM-LP_S遺伝子を導入・発現させたCOS-7細胞ではSOD-2の発現量が有意に増加していた。したがって、M-LPが活性酸素の除去機構に関与している可能性が示唆された。
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