研究課題/領域番号 |
12670393
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 教授 (30184956)
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研究分担者 |
浅野 水辺 神戸大学, 医学部, 助手 (90283879)
足立 順子 神戸大学, 医学部, 助教授 (40030887)
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キーワード | アルコール / 動脈硬化 / C型ナトリウム / 動脈内皮 |
研究概要 |
1.神戸大学医学部法医学教室における剖検例のうち、遺族の同意を得た剖検例から大動脈(腹部)及び冠状動脈(前下行技)を採取した。生前にアルコール依存症と診断されていたか、日常生活歴等から常習的アルコール多飲者と考えらる剖検例をアルコール多飲酒群(男3例、女1例、計4例。平均年齢60.5±4.0歳)とし、年齢その他の動脈硬化促進因子についてアルコール多飲酒群と条件が同様であり、適量以下の飲酒者又は無飲酒者の剖検例を対照群(男3例、女4例、計7例。平均年齢66.7±11.2歳)として集めた。動脈をホルマリン固定後、常法に従いパラフィン包埋組織切片を作成した。新鮮凍結切片に対する染色条件に準じて、血管内皮におけるC型ナトリウム利尿ペプチド(C-type Natriuretic Peptide、CNP)を抗CNP抗体(Rabbit Anti-CN Peptide 22)を用いて免疫染色した。多飲酒群と対照群との動脈壁内皮における染色性を比較すると共に、パラフィン包埋切片に対する染色条件を検討した。 2.(1)肉眼的には、冠状動脈では多飲酒群の方が対照群より動脈硬化の程度は低く、大動脈では両群間に差異はなかった。 (2)多飲酒群及び対照群の何れにおいても、大動脈及び冠状動脈の内皮が抗CNP抗体で強く染色され、CNP陽性であった。しかし、一部の内皮は染色されなかった。 (3)多飲酒群においては、動脈硬化により内膜の肥厚のある部分における内皮の染色性は、大動脈では特に差異はなかった。一方、冠状動脈では肥厚部内皮の染色性がやや亢進し、内膜の線維層もやや強く染色される傾向が見られた。 (4)多飲酒群と対照群とを比較すると、大動脈内皮におけるCNPの発現に明らかな差異は認められなかったが、冠状動脈内皮においては、多飲酒群の方が強く染色された。従って、多飲酒群の冠状動脈内皮におけるCNP発現の亢進が考えられた。
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