昨年度の補体C7遺伝子解析に引き続き、本年度は補体C6の遺伝子解析を行った。まず等電点電気泳動法と免役プロッティング法によりタンパク質レヴェルでC6表現型を明らかにし、異なる表現型をもつ各試料から分離精製した末梢血DNAを用い、17の個々のエクソンをカバーするプライマー・セットでPCRを行った。つぎにPCR・ダイレクト・シークェンシングを行い、C6遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域のSNPsを検索した。結果は次の通りである。(1)日本人健常者からエクソン3、同10、同13にSNPsを検出した。(2)エクソン3におけるSNPは413番塩基がAからCに置換しており、対応する98番目のアミノ酸がGluからAlaに変化している。(3)413番塩基がAならばC6-Aのアロタイプと関連し、CならばC6-BとC6-B2のアロタイプと関連する。(4)エクソン10におけるSNPは1674番塩基がTからCに置換したものであるが、対応する518番目のアミノ酸(Cys)に変化はみられない。(5)エクソン13におけるSNPは2145番塩基がTからAに置換しており、対応する675番目のアミノ酸がAspからGluに変化している。(6)この塩基がT/A(ヘテロ)であるタイプが表現型C6-B(ホモ)の試料から検出されたため、Bのアロタイプに関連する遺伝子は2種類あると推定された。(7)イントロン2と3にSNPsを検出した。(8)イントロン2の変異は357番の下流32番目の塩基にあり、GがAに置換している。このSNPは制限酵素Hinf Iを用いてRFLP解析することができ、日本人集団における遺伝子頻度は、*G=0.920、*A=0.080であった。(9)イントロン3の変異は503番の上流78塩基にあり、GがAに置換している。(10)これらのイントロン2とイントロン3の塩基は連鎖している可能性がある。
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