研究課題/領域番号 |
12670399
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
玉木 敬二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90217175)
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研究分担者 |
安積 順一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045551)
山本 敏充 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50260592)
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キーワード | ミニサテライト / MVR-PCR / 突然変異 / 法医学的応用 / 親子鑑定 |
研究概要 |
本研究では、まず、MS32を利用したMVR-PCR法を親子鑑定に利用して突然変異が起こった場合の偽排除との区別をデータベースのアリル情報からシュミレーションして検討した。また、あるマイクロサテライトに突然変異があった場合において、否定されていない高変異ミニサテライトのMVR-PCR法でマッピングされたアリル情報が、父権肯定にいかに貢献するかを実際の鑑定例において検討したところ、ミニサテライトはやはり高い貢献度を示したので、突然変異の起こったローカスを除外せず、父権肯定確率などの計算で考慮して計算することを提案した。さらに、MVR-PCR法はミニサテライトの高変異性を詳細に表す最適な方法であるが、より客観的にまた迅速にマッピングするため蛍光標識による自動分析法の試みをMS32において行った。 ミニサテライトB6.7は、現在最も高変異なローカスのひとつであるが、日本人では全く分析されていない。このため、我々は血縁関係のない日本人について、アリルの大きさを分析したところ、全体に北ヨーロッパ人のアリルに比べて有意に低いことを示した。また、長さの違いによるヘテロ接合度は100%であり、B6.7は日本人においても膨大な多型性を示すため、その突然変異率の高さも示唆された。アリル間の類似性について北ヨーロッパ人アリルも含めてMVRコードにより検討したところ、日本人アリルには北ヨーロッパ人アリルと類似性を示すものは全く存在せず、B6.7においては突然変異によるアリルのターノーバーが速いことが示唆された。また、類似性を示すアリル間の構造を比較すると、突然変異は単純なリピートの挿入・欠失と思われるものは少なく、DNA二重鎖切断後に生ずるヘテロデュプレックス構造を、2つのアリル情報で頻繁に交換して修復するような、極めて複雑な突然変異機構を想像させるものが多くみられた。
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