一過性の虚血(虚血再灌流)後に生じる神経細胞障害の部位差、脆弱性について側坐核、視床下部について検討した。実験I:側坐核、視床下部の虚血再灌流によるモノアミン放出変化:側坐核において虚血処置群のDA放出は、sham群と比較して、2回のK刺激により有意に増加した。側坐核5-HT放出には、虚血群及びSham処置群ともにK刺激により増加したが2群間の差は認められなかった。視床下部におけるK刺激DA及び5-HT放出は、増加を示したが虚血群、Sham群に差は認められなかった。実験II:虚血モデル(脳局所低酸素モデル)として、シアン化ナトリウム(NaCN)誘発エネルギー産生不全による抵抗性の検討:CN-CN群(CN2回刺激)、NaCN灌流エネルギー産生不全に対して側坐核DAは著明な放出増加を示し、2回目のCN灌流においても増加を示した。CN-カリウム群(CN灌流後カリウム灌流刺激):カリウム刺激により、側坐核DA放出は増加しNaCNによるDA神経系機能に障害は認められなかった。側坐核5-HT放出変化は、最初のNaCN灌流刺激において側坐核5-HT放出は増加した。しかし、2回目のCN及びカリウム刺激では側坐核5-m放出は認められなかった。これらの結果から、(1)視床下部は虚血再灌流障害に対して側坐核に比較して神経活動の抵抗性を示した。(2)NaCN灌流に対して側坐核5-HT神経系はDA神経系に比べて高い感受性を示した。以上脳虚血障害の部位脆弱性に加えて、各モノアミン(ドパミン、セロトニン)神経系の抵抗性の相異が示唆された。
|