研究概要 |
顕微鏡のプレパラートのような石英ガラス製基板中に幅200μm,深さl00μm(中央部分の深さ10μm)のマイクロチャネルをレーザーおよび高速原子衝突を用いて作製した.このせきとめ型チップに反応固相として直径約50μmのモノクローナル抗体を吸着させたポリスチレンビーズを導入し,検体,サンドイッチ抗体(ウサギIgG)を送液してチップ内で抗原抗体反応を行った.反応終了後,洗浄し,金コロイド標識抗ウサギIgGを反応させ,結合した金コロイドの量を熱レンズ顕微鏡で測定した.送液はすべてシリンジポンプで行い,溶液の切り替えは切り替えバルブを用いた.この結果,チップ内で,ホリスチレンビーズに抗原や標識抗体が短時間で吸着することが確認でき,また,B/F分離や検出までのすべての過程を簡便に行えることが明らかになった.CEAの測定可能範囲は0.1-100ng/mlであり,各段階の反応が最高に達するまでの時間は約10分程度なので,従来のマイクロプレートを用いる系に比べて分析時間が大幅に短縮できることもわかった.さらに,多種類の物質の同時測定を行うマルチチャネルマイクロチップの作製を行い,チップの流路間の誤差は問題がないとわかったので,薬毒物のスクリーニングへの応用を検討した.覚せい剤,フェノバルビタールなどの検出と定量を行い,1ng/ml以下でも検出できた.薬剤の抗体の種類をさらに増やして測定できるように基礎的研究を行っている.チップは最終的にはプラスチック製のデイスポーザブル製品が望ましいので,試作品を作って検討を重ねながら,実検体の測定へと応用している.
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