研究概要 |
CCR4がTh2に特異的に発現されていることが明らかになっている。気道上皮細胞によるCCR4特異的ケモカインであるTARC、MDCの発現を検討し、以下の知見を報告した。(Sekiya T.Ishii A.Hirai,K.et al.J.Immunol.165:2205-13,2000) (1)喘息患者、正常人の気道粘膜の生検組織について、TARC、MDCの免疫組織染色を行った。喘息患者の気道上皮は正常人に比べ、明らかに強いTARCを発現していたが、MDCについては極めて弱く、喘息患者と正常人の間に差を認めなかった。 (2)気道上皮細胞株(A549、BSAS-2B)を種々のサイトカインで刺激し、TARC、MDCの産生をみた。IL-4を含む刺激でTARC産生が蛋白、mRNAレベルで確認された。一方、MDC産生はほとんど認められなかった。 (3)気道上皮細胞株のTARC産生は、喘息の有効な治療薬であるグルココルチコイドにより蛋白、mRNAレベルで完全に抑制された。 以上の検討より、喘息における重要なサイトカイン/ケモカイン産生である気道上皮細胞は大量のTARCを産生しうることが明らかとなった。 喘息におけるTARC、MDC発現を誘発痰、血清で検討した。(Sekiya T.et al.投稿中) (1)塩野義製薬との共同研究で入手した高濃度のTARCのELISAを用い検討したところ誘発痰中、血清中に有意なTARCの増加を認めた。 (2)血清中のMDCは喘息患者、正常人間に有意な差を認めなかった。誘発痰中のMDCは測定不能であった。 以上の検討より、喘息におけるTARCの重要性とともに、血中TARC濃度が喘息の診断、病勢の指標になりうることが示唆された。
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