研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)の遺伝要因を明らかにするため、HLA-DRの重要性と遺伝的関与の仕方を検討した。さらに罹患同胞対を対象としてマイクロサテライト(MS)を用いた連鎖解析を行い、新たな疾患感受性遺伝子(領域)の一次的スクリーニングを行った。家系例でのshared epitope(SE),DRB1*0405との相関は、非家系例と優位な差はなかった(SE:69.8% and 60.6%,DRB1*0405:45.3% and 49.3%)。DRはdominantもしくはadditiveに遺伝的に関与していた。DRB1*0802は家系例でもprotectiveな負の相関を示した。日本人MSの頻度、heterozygosityは白人と異なっており、28.2%がheterozygosity 0.7以下を示し、13.4%が0.6以下を示した。RA53家系を用いた罹患同胞解析からは、LOD値1.2以上の9領域(TIRA1-9)が得られ各々染色体3(105-141cM),11(25-50),17(94-124),18(0-33),X(25-46),8(8-41&140-155),7(115-165),and 2(28-73)に位置していた。TIRA1-9領域の総延長は約288cMでこれは全genome長の約8.3%となった。他に0.8以上の3領域(染色体2(85-110),3(0-20),X(139-165))を得た。これらの結果は、今後さらに再検等を必要とする中間結果である。TIRA1-9領域を白人のデーターと比較すると、TIRA1,6はCornelis、TIRA1,3,5,6はJawaheer、TIRA5はMackayの報告と近似していたがすべての報告で共通する領域はみつからなかった。これらの領域にはVIL2,TACTILE, B4GALT4(in TIRA1),CD44,BTF3,CD59(in TIRA2),ITGB4,API4,TIMP2(in TIRA3),TGIF(in TIRA4),FIGF(in TIRA5),CTSB, PDGFRL(in TIRA6),SLAT4A(in TIRA7),LAMB1,PBEF, IRF5(in TIRA8),and TIMP3,ZNT3,LTBP1(in TIRA9)等、多くの興味ある候補遺伝子が存在していた。CTLA-4の-318CアリルがRAで高い傾向があり(p=0.048)今後の検討事項と考えられる。
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