アレルギー疾患において炎症細胞の組織への浸潤は多くの活性化因子を放出し、このためさまざまな臨床症状が出現する。ヒト気道上皮により多くの生物活性が産生されることが最近報告されてきている。一方、インターロイキン9の遺伝子を導入したトランスジェニックにおいて気道上皮に多量の好酸球が浸潤することが報告された。そこで今回、ヒト上皮細胞と新たなTh2サイトカインであるinterleukine 9とのinteractionの有無をヒト気道上皮由来のBEAS-2B細胞を用いて検討した。まず、BEAS-2B細胞にIL-9receptorのmessageが存在するかにつきRT-PCRを用いて検討した。明らかにIL-9RαとIL-2Rγが認められた。そこでBEAS-2B細胞の表面上のIL-9RαとIL-2Rγの出現の有無につきFACSを用いて検討すると、明らかに両抗原が細胞上に存在していた。次に、BEAS-2B細胞をIL-9で刺激してその培養上清の炎症細胞に対するchemotaxisを検討すると、この培養上清は好中球に対して強力な走化性を有することが分かった。しかし、好酸球に対する走化性を認められなかった。そこで好中球に対する走化性の因子の検討をELISAにより検討すると、IL-8が高値であった。このように気道上皮はサイトカインの刺激により好中球を呼び寄せる因子を放出することが明らかとなり、アレルギー疾患を解析の新たな知見が得られた。
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