研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)患者の関節滑膜細胞を用いた培養実験で,インターロイキン-12(IL-12)は少量(≦1ng/ml)でも滑膜T細胞のインターフェロン-γ(IFN-γ)産生を有意に増強したが,IL-18には直接的な増強作用(〜100ng/ml)は認めなかった。しかし,IL-12で誘導されるIFN-γ産生をIL-18は増強し,抗IL-18抗体存在下で50%以上に低下した。したがって,RA滑膜に多量に存在するIL-18のTh1型免疫反応における役割は,少量しか産生されないIL-12のIFN-γ誘導活性を増強することにあると推定された。FACS解析により,RAの末梢血T細胞におけるIL-12受容体(IL-12R)β1/β2鎖の発現能は健常人T細胞より強く,RA滑膜にはIL-12Rβ1/β2鎖を発現するT細胞を認めた(〜5%)。また,抗CD3刺激によりその発現は20%以上に増強された。一方,IL-18Rα鎖は健常人末梢血T細胞の〜20%に発現を認めたが,RA末梢血ではより多数のIL-18Rα鎖発現T細胞を認め(〜30%),滑膜ではさらに増加していた(〜40%)。現在,IL-18のIL-12活性の増強活性を,IL-18によるIL-12Rβ1/β2鎖の発現増強,転写レベルでの相互作用より検討している。 RNascプロテクションアッセイにより,Th1選択的とされるCXCR3ケモカイン受容体の発現をRA滑膜CD4+T細胞に認めた。また,免疫組織染色,RT-PCR,培養により,滑膜の血管内皮細胞,組織マクロファージおよび線維芽細胞様滑膜細胞がCXCR3リガンドであるケモカインIP-10,Mig,I-TACを産生していることを明らかにした
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