研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)におけるTh1反応の持続にIL-12とIL-18の相乗作用が重要であることを,平成12年度に明らかにした。平成13年度はRAにおけるTh1反応成立の分子機構を解明するため,IL-12とIL-18によるインターフェロン-_γ(IFN-_γ)誘導の相乗作用を受容体発現と細胞内シグナル伝達経路において解析し,またTh1細胞に選択的なケモカイン受容体CXCR3のCD4+ T細胞における発現とそのアゴニストであるケモカインI-TAC, IP-10, Migの関節局所での産生を検討した。 RA滑膜CD4+ T細胞では,IL-18Rの発現は60%以上に認めるが,IL-12受容体(IL-12Rβ1/β2)はIL-18により誘導された。また、IL-12刺激ではSTAT4の核内移行を認め,IL-18ではNF-_κBが強く活性化されたが,AP-1の活性化は強くなかった。したがって,RA滑膜ではCD4+ T細胞はIL-18によりIL-12Rが誘導され,IL-12反応性を獲得する。その後,IL-12によるSTAT4とIL-18によるNF-κBの活性化の相乗作用により効果的なIFN-_γの誘導が起こることが示された。 RA患者末梢血CD4+ T細胞はIL-2およびIL-15により活性化され,CXCR3が誘導された。RA滑膜には,変形性関節症の滑膜と比較して,CXCR3リガンドのI-TAC, IP-10, Migの転写レベルおよび蛋白レベルでの強い発現を認めた。免疫組織染色では,マクロファージおよび滑膜線維芽細胞が主要な産生細胞と考えられた。分離したRA滑膜線維芽細胞の培養実験から,IFN-_γ, IL-1, TNF-_αなどの炎症性サイトカインにより誘導され,相互に相乗作用を認めた。したがって,CXCR3とそのリガンドはTh1細胞の選択的浸潤に重要であることが明らかとなった。 現在,RA滑膜由来のIL-12R+/IL-18R+ Th1クローンの確立を進めている。
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