膜型TNF-α(26kD)は可溶型の前駆体であり、TNF-α産生刺激にともなって細胞膜表面に表出し、プロテイナーゼの切断を受けて可溶型(17kD)を分泌する。可溶型TNF-αとは対照的に膜型TNF-αの機能はほとんど不明であったが、近年その受容体が明らかになり、膜型TNF-αの機能が注目されている。本年度はT細胞表面上の膜型TNF-αに会合する分子を同定することに力点をおいて研究を進めている。膜型TNF-αの細胞内ドメインに結合してこれらの機能に関与する分子を同定する目的で、yeast two-hybrid system、免疫沈降法を用いて解析を進めている。このためまず膜型TNF-αのプロテイナーゼ認識部位の78番目のArg、79番目のSerをそれぞれThrへ変異を導入したmutant(R78T/S79T)を作成し、Jurkat T細胞で発現させた細胞株を作成した。これにより大量かつ安定して膜型TNF-αを発現することに成功した。現在、抗TNF-α抗体を用いて免疫沈降をおこない膜型TNF-αに会合する候補タンパクをポリアクリルアミドゲルを用いて検出、精製し、CNBrにて処理後エドマン法によりアミノ酸を解析するという実験を進めている。いくつかの共沈するバンドを見いだしており、解析を進めている。
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