研究概要 |
抗原刺激に最も適した樹状細胞の遺伝子発現を検討する目的で、未熟樹状細胞に種々の刺激を加え、その遺伝子発現をmRNAレベルで検討した。4時間目で発現が高いものとして、prptein kinase A anchoring Protein, CD63, TFEC, proteasome subunit alpha 3, transforming grouth factor beta induced 68KD, GSA alpha subunit, BTK region clone 2f10-rpi, 24時間目に発現が高いものとしてtryptophanyl tRNA synthetaseの遺伝子を同定した。同時に、apoptosis関連の遺伝子の変化も認められた。 さらに、抗体と樹状細胞を用いた免疫療法を展望し、我々が作製したヒト・マウスキメラ抗erbB-2抗体(CH401)のアポトーシス誘導のメカニズムを検討した。erbB-2高発現細胞株SV22にCH401キメラ抗体を加え、JNKの活性化を観察したところ、経過中JNK蛋白の発現量に変化はなかったが、kinase assayではerbB-2高発現細胞株SV22で、2時間後からJNKの活性化が認められ、18時間後もJNKの活性化が認められた。次にERK経路に与える影響を検討する目的で、活性化ERKを認識するリン酸化特異抗体を用いたWestern blot法でERKのキナーゼ活性を検討したところ、ERKのキナーゼ活性は抗体添加8時間後から低下した。これらの結果からCH401はアポトーシスに向かうJNK経路を活性化し、細胞増殖に向かうERKを抑制することによりアポトーシスを誘導していることが明らかにされた。
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