研究概要 |
樹状細胞は抗原提示細胞として非常に重要であり、その成熟過程での発現遺伝子の変化について検討がなされてきているが、まだその報告数は少ない。今回、我々は末梢血単球由来樹状細胞の低濃度のLPS刺激による成熟過程での発現遺伝子の変化について、differential display法を用いて検討した。この結果、Proteasome subunit (PSMA3), TFEC isoform, and BTK region clone 2f10-rpiは一過性の発現亢進を認め、Tryptophanyl-tRNA synthetase and CD63 antigenは24時間目まで経時的に発現亢進を、Neuronal apoptosis inhibitory protein (NAIP) and transforming growth factor beta-induced 68 kD proteinは経時的に発現の減弱を認めた。さらに、我々は初めてヒト末梢血単球由来樹状細胞でNAIPが発現していることを突き止めた。NAIPとinhibitor of apoptosis protein (IAP) family、bcl-2 familyについて、その発現を比較した。NAIPはLPS刺激前の未熟樹状細胞で強く発現し、その後減弱していく事が判明した。また、PSMA3は我々が作成したerbB-2に対するマウス・ヒトキメラ抗体とerbB-2蛋白の免疫複合体で誘導されることを突き止めた。これらの結果は、樹状細胞成熟のさらなる理解や樹状細胞を用いた免疫療法に役立っと考えられた。
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